大阪府参与 安延 申氏が大阪発のITモデルを熱く語る

来たる7月13日,大阪ガーデンパレスで,日経BP社主催「ITフォーラム in 大阪」が開催される。このフォーラムでは,シャープ 常務 IT戦略企画室長 坂井 陽一氏,大阪府IT推進プラン策定に参画している大阪府参与 大阪府IT推進懇話会座長,スタンフォード大学スタンフォード日本センター研究部門理事/リサーチフェロー,ウッドランド株式会社代表取締役社長 安延 申氏の講演などが行われる。特に,安延氏には「ITの時代は終わったのか?」と題して,ITの活用について政策レベルや経営レベルから縦横無尽に語っていただく予定だ。フォーラムを前に,安延氏に当日の講演のモチーフを聞いた。

ITフォーラム in 大阪

ITの時代はもう終わったのか?−今こそ,経営レベルでのIT活用が必要だ
安延 申氏
大阪府参与 大阪府IT推進懇話会座長,スタンフォード大学スタンフォード日本センター研究部門理事/リサーチフェロー,ウッドランド株式会社代表取締役社長 安延 申氏
 最近あるビジネス誌に,「ITよ,さようなら。洗濯機よこんにちは」という記事が載っていた。ITシフトを叫んだ大手電機メーカーがITでは儲からず,成熟したはずの洗濯機の技術革新で新しい市場を開拓しつつあるという内容だった。しかし, そこで取り上げられている斜め回転軸のドラム式洗濯機が振動せずにきちんと動くのは,組み込まれたマイコンが制御しているからだ。また,現在,多くの自動車メーカーが好調だが,車の付加価値の2割以上は電子制御関連である。これはどの分野でも一般的にいえる。つまり,ITの時代は終わったのではなく,ITが組み込まれるのが当たり前になり,ITが目立たなくなったということなのだ。

 経営レベルでも同じことがいえる。サプライチェーンの整備によって,今まで3.5カ月分必要だった在庫が2.5カ月分で済むようになれば,1カ月分のキャッシュフローが浮く。その結果,保管コストも削減できるし,バランスシートも良くなる。こうした在庫圧縮やコスト削減などの経営目的が先にあって,その達成はITなしには不可能になっている。そこでは,ITの活用は当然という前提になる。

 現在の景気回復は製造業中心だといわれている。それを牽引している企業はグローバル・カンパニーであり,東京や大阪,名古屋という地域とは無関係に活動している。そして,世界中の最適な場所で作って最適な場所で売るというやり方で,厳しい競争を繰り広げている。そうした中では,高度成長時代の日本のように,特定の産業や特定の地域の経済が一律に活況を呈することはあり得ない。経営の効率化を徹底して推進し,好業績を上げるグローバル・カンパニーが存在する地域の経済が活性化するということになる。現に大阪でも,松下電器産業,三洋電機,シャープの3社の調子が良くなると,関西経済全体が好調になるという徴候が見てとれる。


地域経済の活性化の観点から自治体業務のアウトソーシングを考える
 このように,リアルタイムでグローバルにコミニュケーションし,モノを生産する企業が,事業全般のプロセスを管理するには,ネットワークとITが不可欠だ。そうした観点から,もう一度ITをどううまく使うべきかを考えなければならない。政府や自治体の政策も,それを前提に立てていく必要がある。

 大阪では,産業としては電子・電機に加えてバイオや医薬品の分野が特に重要になる。また,地域経済の活性化という面から考えると,大阪府庁は職員7万人を抱える関西最大の企業(組織)であり,その業務の中から民需を発生させることも重要だ。この4月には,府庁と府教委の人事給与,財務会計,物品調達業務を全てアウトソースして,総務サービスセンターがスタートした。その運営は富士通とNTT西日本,松下電器産業が行っているが,ここに民需が発生しており,今後のモデルになる。

 現在,大阪府では入札や契約を電子化する入札契約センターのアウトソース化も進めているが,その一環として様々な公的文書が電子化される。その後はコンタクトセンターを作ろうという話になっている。深刻な財政危機の中,アウトソースによってコストを削減し,団塊の世代の職員が大量に退職する2007年を迎えても人員を補充せずに,余ったリソースを介護や環境などの重点分野に振り向けようという計画だ。

 こうした中,大阪府が徹底してユーザーとしての立場に立つことが,新しいIT産業を育てることになる。IT産業の育成に必要なのは,ITインフラへの投資や補助金の交付ではない。アウトソース先に厳しい要求を突きつけて,アウトソースへの投資を大きく上回るコスト削減効果を生み出すサービス・モデルを作り上げることが重要だ。そうした過程を経て作り出されたものであれば,他の自治体に売り込むことができるし,実際のビジネス・モデルとしても通用する。だから,「売れるモノを作ろう,使えるモノを作ろう」と,太田知事にも申し上げて,府庁業務のアウトソーシング計画に取り組んでいるところだ。

 以上のように,安延 申氏の意見は経営におけるIT活用という一般論にとどまらず,現状の国や自治体のIT振興策に対する批判や新たな視点も含む示唆に富んだものである。当日の講演は,昨年12月に太田知事に提出した,IT活用によるよりよい行政サービスを提供していくための提言「大阪発ITモデルの創造に向けて」をとりまとめたもので,「大阪府IT推進懇話会」の座長としての経験も反映されるはずである。もっと詳しい内容を知りたい方は,ぜひこのセミナーにご来場いただきたい。





セミナー詳細
日 時 2004年7月13日(火)  10:00〜15:45(予定)
会 場 大阪ガーデンパレス 桜桐の間、9:30開場(予定)
〒532-0004 大阪市淀川区西宮原1-3-35  TEL:06-6396-6211
会場についてはhttp://www.hotelgp-osaka.com/をご覧ください。
受講料 無料(事前登録制)
定 員 基調講演 300名
システムソリューション・トラック 150名
ネットワークソリューション・トラック 150名
主 催 日経BPセミナー事業センター
協 賛 アドビ システムズ、京セラコミュニケーションシステム、日本ビジネスオブジェクツ、日本ピープルソフト、NTTコミュニケーションズ、NTT西日本、ユニアデックス、他


プログラム
 
システムソリューション・トラック

ネットワークソリューション・トラック
10:00〜10:50 基調講演:
「事業環境変化とシャープのIT戦略」
シャープ株式会社常務 IT戦略企画室長 
坂井 陽一
10:55〜11:35 「ERP,SCM,CRMの次の一手がビジネスを革新する」
日本ビジネスオブジェクツ株式会社
 第二営業本部 本部長  
泉谷 章
「個人情報漏洩のリスク対策」
西日本電信電話株式会社
ソリューション営業本部 
セキュリティサービス推進室長
岡本 充由
11:40〜12:20 「製造業の「見える化」を実現し、競争力を強化するピープルソフト」
日本ピープルソフト株式会社
営業本部 ソリューションコンサルティング部
シニアソリューションコンサルタント
佐藤 幸樹
「大規模無線LAN実装とセキュアなアクセスポイント管理」
ユニアデックス株式会社
戦略事業グループ 市場開発部
マーケティングマネージャー 
山平 哲也
12:20〜13:20 昼 食 休 憩
13:20〜14:00 「誰もが安心して参加できる『IT社会』実現に向けて(仮)」
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
NTTコミュニケーションズ インターネット検定委員会
ガイドライン策定部会 委員、.com Mate部会 部会長
吉見 英弥
「NTT西日本の“光”IPネットワークソリューション」
西日本電信電話株式会社
ソリューション営業本部
ソリューションビジネス部
ネットワークグループ担当部長
梶 明夫
14:05〜14:45 「業務効率とセキュリティを両立! アドビ・ドキュメントサービス」
アドビ システムズ株式会社
インテリジェントドキュメント部 
フィールドプロダクトマネージャー
小島 英揮
「ネットワークシステムが抱える課題と求められるソリューション」
京セラコミュニケーションシステム
取締役 IPサービス事業本部長
黒瀬 善仁氏(暫定)
14:50〜15:45 「ITの時代は終わったのか?」
〜今こそ経営レベルでのIT活用が企業競争を勝ち抜く手段に〜
大阪府 参与  大阪府IT推進懇話会 座長
ウッドランド株式会社 代表取締役社長
安延 申


満席のため申し込みを締め切りました

問い合わせ先
日経BP社セミナー事務局
ITフォーラム 係

e-mail:seminar@nikkeibp.co.jp
TEL:03-5210-8657
(土日祝を除く月〜金10:00〜17:00)
FAX:03-5210-8756